万年筆が好きなのは、いわゆる「一生もの」だからです。私はずっと大切に近くにおいておけるものが好きで、「期間限定」といわれるものが苦手です。
食べ物でも何でも、気に入ったものはずっとリピートして、いつでも食べたい時に味わいたいのです。たとえば期間限定のハンバーガーがとても美味しそうに見えても、もし気に入ってしまったら、いつか食べられなくなる時が来ることを想像すると悲しくて、その悲しみが上回ってなかなか手を出せません。
いつもあるもの、いつでも手を伸ばせば届くものが安心するのです。
しかしそれは全くの幻想かもしれません。この世のすべてが期間限定だとしたら。いつでも手を伸ばせば届くものなんて、果たして存在するのでしょうか。
「一生もの」だと思っていても、形あるものはいつか壊れる。出会いも人間関係も、すべて期間限定だとしたら。自分の存在そのものも期間限定だということです。
今たまたまお互いここに存在するだけであって、「またね」と別れたあと二度と会えないかもしれない。私たちは誰ひとり例外なく、期間限定の儚さを常に抱いて生きているのです。
いつか会えなくなることを想像して悲観するよりも、いま同じ時間を共に過ごしている、お互いの「期間限定」をもっと大切に味わうことが、心の豊かさにつながるのではないでしょうか。
